Story

その花には 水も光もいらない
必要なのは、言葉だ

人と人の出会いほど怪しげなものはない。また、人と人の別れほど謎めいたものもない。彼(彼女)でなければならないような気もするし、彼(彼女)でなくてもよかったような気もする。どんなに激しく抱きしめあっても、人と人は溶け合わない。

山根アキラは、少年時代に亡くした母親の死の謎を追ううちに、森村なつきと出会い、恋に落ちる。どこか気質の似通った二人の仲は次第に深まって行く。そんなある日、森村は小学校の同窓会に出かけ、15年ぶりに、同級生の和田守に再会する。しかし、彼女は、当時和田と交わしたある約束を覚えてはいなかった……。つい昨日まで、ばらばらの人生を送っていたはずの三人が出会い、そして、別れる。あとには、聞いたことのない名前の花、モスリラが残され、乾いた風に、その身を揺らすばかりである……。

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